研究課題/領域番号 |
05670424
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
長澤 浩平 九州大学, 医学部, 講師 (00108721)
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研究分担者 |
都留 智巳 九州大学, 医学部, 医員
真弓 武仁 九州大学, 医学部, 助手 (70219541)
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キーワード | Tリンパ球 / SLE / 活性化 / 蛋白リン酸化 / CD3 / Bリンパ球 |
研究概要 |
全身性エリテマトーデス(SLE)患者のTリンパ球にはいくつかの機能異常があることが知られている。我々はまずSLE患者末梢血Tリンパ球をin vitroでphorbol myristate acetate(PMA)で刺激し、プロテインキナーゼC(PKC)の酵素活性を測定した。その結果、SLE患者Tリンパ球では健常者のそれに比べPKC活性は明らかに低下していた。PMA刺激による細胞内蛋白のリン酸化を^<32>Pを用い、SDS-PAGE、オートラジオグラフィーにより検討したところ、健常者Tリンパ球においては、PMAの濃度依存的に80kDa、及び64kDaの蛋白がリン酸化を受けていることが明らかになった。ところが、SLE患者Tリンパ球では、これらの蛋白のリン酸化が著明に低下していた。このことがSLE患者Tリンパ球活性化の欠陥に関連していることが示唆された。さらに、蛋白脱リン酸化阻害剤であるオカダ酸をPMA刺激に加えると、Tリンパ球の増殖反応は促進され、前述の80kDa蛋白のリン酸化も増強された。しかし、SLE患者Tリンパ球においては、このような反応が極めて弱く、CD3分子のgamma鎖のリン酸化も減弱していた。このように、Tリンパ球は蛋白脱リン酸化抑制によっても増殖反応が促進されることがわかったが、SLE患者Tリンパ球ではこの作用も弱いことが明らかとなった。 Tリンパ球の増殖反応とは別に、活性化Tリンパ球によるBリンパ球の免疫グロブリン(Ig)産生補助能を検討した。抗CD3抗体でSLE患者Tリンパ球を刺激すると、Bリンパ球へのシグナルは健常者に比べ、より効率よく伝達され、Bリンパ球によるIg産生が増加する傾向がみられた。このように、SLE患者Tリンパ球は現在のところ、刺激に対する増殖とヘルパー活性が解離することが考えられる。
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