研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)患者骨髄より培養した破骨細胞様細胞(OC)ならびに培養ヒト骨芽細胞(OB)につき接着分子発現とサイトカインによるその制御および骨吸収における接着分子の関与につき検討した。OBは健常者periosteumから、OCは骨髄より培養した。接着分子発現の定量は96穴プレートに培養,抗ヒト接着分子mab(マウス)を用いたcell ELISA法で各接着分子発現を定量した。Ca遊離活性は^<45>CaラベルOB層にOC添加6h培養後の上清0.1mlにつき放射活性を測定した。 OCではICAM-1,VCAM-1が無刺激で強く発現され、IL-1beta,IFN-gammaにより増強され、IL-6も軽度増強した。LFA-1,Mac-1,VLA-4の発現もみられ、いずれもIL-1beta,IFN-gammaにより増強された。OBではICAM-1,VCAM-1発現が無刺激で強くみられ、前者はIFN-gammaで、後者はIL-1beta、IL-6で増強された。IL-1beta刺激OBにOCを添加するとほとんどすべてのOCがOBに著明に接着したがこの接着はICAM-1 mab添加(2mug/ml)では抑制されなかった。さらに、^<45>CaラベルOBにOCを添加・培養する実験から、OCはCa遊離活性を示した。この際、ICAM-1mabを添加しても骨吸収は抑制されなかった。さらに、OC、OB培養上清中に可溶性のICAM-1が産生され、IL-1beta刺激により有意に増強された。可溶性ICAM-1はOB OCの接着を軽度ながら抑制した。一方、ICAM-1 mabはOCのVCAM-1発現を有意に高めた。 本成績からOCによる骨吸収にはOB-OC cell interactionが重要な役割を有し、ICAM-1/LFA-1(Mac-1)接着経路のみでなく、VCAM-1/VLA-4も関与し、従って、OC-matrix interactionも骨吸収において病態的に重要であることが示唆された.ICAM-1 mabは接着またはOCによるCa遊離を抑制しなかったことはpara-doxycalに思えるが、ICAM-1 mabは他の接着分子を増強し、接着分子環境には一種のカスケードがあり、連鎖均〓を保ちながら調節されていることが示唆される。
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