研究課題/領域番号 |
05670431
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
橋本 博史 順天堂大学, 医学部, 教授 (60053120)
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研究分担者 |
津田 裕士 順天堂大学, 医学部, 講師 (60188555)
吉田 幸洋 順天堂大学, 医学部, 講師 (90166950)
高崎 芳成 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80154772)
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キーワード | SLE / 妊娠・出産 / 自然流産 / 新生児ループス / 抗リン脂質抗体 / 抗SS-A / SS-B抗体 / 抗核抗体 / 血漿交換療法 |
研究概要 |
当科受診した全身性エリテマトーデス(SLE)患者の中で、妊娠・出産した患者とその児について、平成6年度と同様に母体に及ぼす影響、出生児の転帰、児の発育状況、母親と児に認められる自己抗体の検索、児のSLE症状の有無、などについて調査した。 また、抗リン脂質抗体を有する母親が妊娠した場合には、デキストラン硫酸を吸着体とする血漿交換を施行し、児の保全を図ると共に、52-kDSS-Aと48kDSS-Bに対する抗体を有する母親が妊娠した場合には、二重膜濾過血漿交換を施行し、新生児ループス発症の防止をはかるprospective studyを行った。 その結果、SLEの母親から出生した児は、正常対照例よりもアレルギー性患者を有意に多く認めた。(78%対30%)。また、アレルギー性疾患やアレルギー性疾患の家族歴を持たないまでも、SLEの母親から出生した児は血清IgE高値を示す症例が多く、SLEに関連する免疫異常の側面を示していることが示唆された。さらに、SLEの母親から出生した児では、特に5歳以上で高率に抗核抗体陽性を認め(22例中8例)、抗核抗体陰性の児においても、4年間の追跡により高率に抗核抗体が陽性化した(16例中7例)。これらのことは、SLE未発症の児においてもすでに自己抗体を産生し、SLE発症の前段階におけるT細胞ないしB細胞機能異常が示唆され、その解析が病因発症を解明する上で重要と考えられた。抗リン脂質抗体を有する5例と52kDSS-A/48kDSS-B抗体を有する3例のSLEの母親の妊娠に際し、上記血漿交換を施行し、いずれも生産を得、新生児ループスの発症を認めていない。
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