研究概要 |
エンドセリン(ET)の水・Na利尿作用に関して、Oishiらは、AVPにより刺激された水透過性亢進がETにて阻害されるが、ET自体の水透過性に対する作用を否定した。Nadlerらは、ETによるAVPの作用の阻害はPre cAMP siteでPKCとGi蛋白を介して働くと考えた。 我々は、Scaleraらの変法を用いて単離したラット腎尿細管基底膜側細胞膜(BLM)を用い、アデニレートシクラーゼ(AC)系に対するETの作用をみた。 方法・結果)BLM,Assay Mixture,AVP10^<-8>molにて、十分刺激されたAC系に対し、ETを10^<-5>〜10^<-12>molの濃度で加え、産生されたcAMPの測定をおこなった。なお反応は37℃、10分間、反応停止は3分間の煮沸にて行い、上清を用いヤマサの測定キットによりcAMPを測定した。ET-1、ET-3の上記濃度内では、ET無添加のものとのcAMP産生量に有意な差はなく、AVPにて刺激されたAC系に対しての抑制作用は認められなかった(下表)。 次に同様の方法でETのAC系への直接作用をみたところ、ET-1にては、cAMP産生量に有意な差はみられなかった。考案)今回、AVP刺激下のAC系に対し、ETの作用はみられなかった。我々のBLMでは、PKCが含まれていない可能性が強いことより、この結果は、ETはPKCを介してAC系に作用するというNadlerらの意見を間接的に示唆していると考えられる。また、ETのAC系への直接作用についても、否定的であった。
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