マウスモノクローナル抗体を用いる酵素免疫測定法(mAb-ELISA)によって、我が国に生息する2種類のヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの2つのグループの主要アレルゲン、Der pI/Der fIとDer pII/Der fIIの合計4種類のアレルゲンを測定するシステムを確立した。マイクロプレートのウエルにコートした1次抗体にアレルゲン試料を反応させ、それに対してビオチン化2次抗体、次いで酵素標識ストレプトアビジンを反応させた後、基質を加えて発色させて酵素活性を検出するという方法である。 このmAb-ELISAは十分な検出感度(1ng/mlまたはそれ以上)と、一般的な研究室で容易に実施することのできる実用性を有していた。Der pIとDer fI、あるいはDer pIIとDer fIIの間で全く交差反応することなく高い種特異性があった。特に、Der pIIとDer fIIの分別定量は世界的にみてもこれまでに報告例がない。mAb-ELISAで測定した室内塵試料中のDer pI/Der fIおよびDer pII/Der fIIの量は、すでに報告したウサギの抗体を用いるラジオイムノアッセイ、およびELISAによる測定値と極めて高い相関を示した(r>0.95)。また、室内塵試料中のダニ虫体数、アカレックステストによるグアニン量とも有意に相関した。更に、室内塵試料中のDer pIとDer fIの割合、あるいはDer pIIとDer fIIの割合は、形態学的に同定したヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの虫体数の割合と非常によく相関し、これらの割合は両種のダニの分布割合を正確に反映していると考えられた。 以上の結果から、mAb-ELISAによるDer pI/Der fIとDer pII/Der fIIの定量法は、室内環境中のダニアレルゲン量の評価、およびダニ、室内塵アレルゲンエキスの標準化という目的に有用であると考えられた。
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