研究概要 |
1。胃癌末梢血リンパ球(PBL)中に誘導される免疫抑制性細胞(suppressor cell;Ts)はナイロンウ-ル付着性のリンパ球であり、そのphenotypeは免疫磁気ビーズを用いてnegativeまたはpositive selectionする事によりCD8^+T細胞とCD8^-CD11b^+細胞より成ることが明らかにされた。CD8^-CD11b^+細胞はCD16^+でもあることがさらに明らかにされた。 2。これらのTsの機能発現のためには標的腫瘍細胞との接着が必要であり、その接着分子としてICAM-1,LFA-1,CD2分子は必須であった。また、CD3,CD8分子がさらに必要な症例と不要な症例が認められた。CD4分子はTsの機能発現には関与していなかった。 3。胃癌患者にMitomicin CとTegafur、或いはCDDPとTegafurの組み合わせの抗癌剤の投与を行いTsの活性の減弱を認めた。 4。癌細胞上に発現されているICAM-1分子は血中或いは胸腹水中、または培養液中に一部遊離して存在する(shedding ICAM-1)。このshedding ICAM-1分子はキラー細胞(Lymphokine-activated killer;LAK細胞)上のLFA-1分子に結合し、キラー活性を抑制する事で癌細胞自身を免疫系からの攻撃を受けない機構(癌のエスケープ機構)に関係している事を明らかにした。
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