研究課題/領域番号 |
05670445
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 直見 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60111530)
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研究分担者 |
安倍井 誠人 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20261802)
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キーワード | 胆石 / コレステロール / 酸性糖蛋白 / 胆汁蛋白 / 結晶成長 / α_1-アシドグリコプロテイン / 免疫グロブリン |
研究概要 |
最近、コレステロール(以下、cho)結晶の形成を促進する複数の糖蛋白(以下、促進蛋白)の存在が胆汁中に報告され、cho胆石形成の要因として国際的にも注目されている。本研究では、これらの促進蛋白の胆石形成における臨床的意義を明らかにすることを目的とした。すでに昨年度、これまでに報告された複数の胆汁蛋白のcho結晶形成促進活性をin vitroで比較した結果、生理的濃度ではα_1-acid glycoproteinと免疫グロブリンのみが、cho結晶形成促進活性を示すことを明らかにした。そこで、最終年度の本年度は、特異抗体を用いてα_1-acid glycoproteinに対するEnzyme-linked immunosolbent assay(ELISA)法の開発に取り組み、これに成功した。本法を用いて、各種の胆石患者および胆石非合併患者の胆嚢胆汁中のα_1-acid glycoproteinの定量を行なった。さらに、各胆汁試料を37℃にてインキュベッションし、偏光顕微鏡にて経時的にcho結晶の形成を観察することにより、cho結晶析出時間を求め、胆汁中α_1-acid glycoprotein濃度と対比した。その結果、胆汁中α_1-acid glycoprotein濃度は、単発cho石例や色素石例では上昇がみられない一方、多発cho石例において特異的に上昇していることが明らかとなった。また、胆汁中のα_1-acid glycoprotein濃度とcho結晶析出時間には、負の相関が認められた。以上より、胆汁中α_1-acid glycoproteinは、特に多発cho石発生の病態に深く関与している胆石形成の体質的因子であることが明らかになった。
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