研究課題/領域番号 |
05670464
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
大西 弘生 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (40176954)
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研究分担者 |
杉原 潤一 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (70216323)
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キーワード | 細胞外マトリックス / EHSgel / 初代培養肝細胞 / 肝癌由来株化細胞 / 肝細胞特異機能 / アンモニア代謝能 / ホロファイバー型モジュール |
研究概要 |
ハイブリッド型人工肝の開発には、長期間高度の肝細胞特異機能を有する培養肝細胞の確立が必要である。昨年度までに細胞外マトリックスは転写因子の発現を介して肝細胞増殖、分化を制御しており、特に基底膜類似成分よりなる細胞外マトリックスであるEHS(Engelbreth-Holm-Swarm)gel内で培養した肝細胞は転写制御因子であるHNF(hepatocyte nuclear factor)-4発現を介してアルブミンmRNAを長期にわたり発現していることを明らかにした。本年度は初培養肝細胞とヒト肝癌由来の株化細胞(Hep G2、HuH-7、PLC/PRF/5)を種々の細胞外マトリックスを用いて培養し、アルブミン分泌能、アンモニア代謝能を比較検討した。その結果、EHS gel 内初代培養肝細胞は3週間後でもコラーゲン、PVLA(poly-N-vinylbenzyl-D-lactonamide)上での培養に比し有意に高いアルブミン分泌能を認めた。一方、株化細胞ではアルブミン分泌量は極めて微量であり、さらにNH_4Cl負荷によるアンモニア代謝能の検討で、初代培養肝細胞では培地中アンモニア濃度の良好な低下がみられたのに対し、株化細胞ではいずれもアンモニア濃度の上昇を認めた。ついで初代培養肝細胞とHep G2細胞をEHS gelに懸濁させ、ホロファイバー型モジュールの外腔に注入し、ゲル化させた後、内腔側をMEM培養液のみで潅流培養し、肝細胞特異機能について比較検討した。その結果、初代培養肝細胞においては血清及びホルモン無添加の潅流培養にもかかわらず培地中のLDHの上昇はなく、培養5日をピークとする良好なアルブミン分泌能並びにアンモニア代謝能を示したが、Hep G2細胞では低値ながら尿素合成を認めるにもかかわらず、培養液中のアンモニア濃度の上昇がみられた。従ってハイブリッド型人工肝には初代培養肝細胞がより有用で、EHS gel内培養肝細胞を用いたホロファイバー型モジュールはハイブリッド型人工肝の開発に向け有用なシステムと考えられる。
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