研究概要 |
B型肝炎ウィルス・トランスジェニックマウス(T-mice)において、T細胞依存性抗原であるKeyhole limpet haemocyanin(KLH)に対する抗体産生がin vivo,in vitroともにコントロール・マウス(C-mice)に比べて低下していることを証明した。その障害機構の一つに、T-miceのリンパ性樹状細胞(LDC)において、MHC class IIの発現の低下が関与していることを明らかにした。初年度は、LDCにおけるMHC class IIの発現が低下している機構を解明する目的で、γ-InterferonによりLDCのMHC class IIの発現が回復するかどうかを検討した。 〔方法〕B型肝炎ウィルスの遺伝子をトランジェクションしたマウス(1、2HB-BS-10,熊本大学山村研一教授より供与)オス、30匹(6-8週齢)の脾臓からSteinman-Inaba法で、LDCを単離した。単離したLDCにγ-IFN100-1000 IU/ml(Genzyme Corporation,MA,USA;Recombinant Mouse IFN-γ;Specific Activity 4.5-9×10^6 IU/mg)を添加して培養した群と無添加群のLDCにおけるMHC class IIの発現をフローサイトメトリーにより測定した。 〔成績〕γ-IFNをLDCに投与しても、T-mice、C-miceともにLDCにおいてMHC class II発現の有意な上昇は見られなかった。 〔結論〕LDCにおいてMHC class IIの発現の調節機構は他の抗原提示細胞であるマクロファージ、B細胞とは異なり、γ-IFNを介するものではないと考えられる。このことはT-miceのLDCのMHC class IIの発現の低下がγ-IFNのレベルの障害ではなく、他の障害機構が考えられ、現在、その機構について検討中である。 尚、その他の予定実験については現在、進行中である。
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