研究概要 |
in vitro UDCAが、リンパ球の免疫グロブリン産生およびT細胞由来のサイトカイン(IL-2,IL-4,IFN-gamma)産生に対して抑制的に作用することを、in vitroの実験系で証明してきた。平成5年度は、モノクロナールな細胞群を用いた抗原提示assay系を用いて、ヘルパーT細胞(Th)のIL-2分泌および細胞障害活性の獲得に及ぼすUDCAの影響について検討し、UDCAがこれらのTh細胞機能に抑制的に作用することを明らかにした。さらに、このT細胞機能の抑制が、抗原提示細胞の抗原処理機能の抑制を介して得られるのではないことも判明した。すなわち、抗原に十分な時間接触させた抗原提示細胞は、この抗原パルスの過程にUDCAが存在しても、Thとの接触の過程にUDCAが存在しなければThを活性化し得た。この結果、UDCAの作用点がおそらくT細胞であると考えられた。 in vivo 重症免疫不全(severe combined immunodeficiency,SCID)マウスにヒト末梢リンパ球を移入し、graft versus host reaction(GVH)によると思われる肝管周辺へのリンパ球浸潤を認めた。しかし、このような病変形成は一部のマウスに限られていた。向後は、ヒトリンパ球移入前に、SCIDマウスにradiationをおこない、SCIDのNK細胞活性を抑制し、この病変形成があまねく、より多くのマウスに惹起できるようにまず試み、UDCA投与の肝GVHにおよぼす影響を検討する。
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