研究課題/領域番号 |
05670496
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
与芝 真彰 昭和大学, 医学部, 助教授 (20010457)
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研究分担者 |
井上 和明 昭和大学, 医学部, 助手 (90232529)
関山 和彦 昭和大学, 医学部, 助手 (90211391)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 劇症肝炎 / 細胞性免疫 / サイトカイン / 細胞接着分子 / IL-1 receptor antagonist / regeneration / prognosis |
研究概要 |
劇症肝炎は広範な肝細胞破壊による肝性脳症の出現を特徴とする急性肝障害であり、生存率30-40%と極めて予後不良な疾患である。我々は劇症肝炎に対する強力な人工肝補助療法と適切な原病対策により、約50%と高い生存率を達成している。しかし、亜急性に経過する症例で、原因ウイルスがC型あるいはB型キャリアからの劇症化例では肝細胞破壊の進展により著明な肝萎縮を来し、その結果再生不良による肝不全死に至ることが多い。劇症肝炎における救命率をさらに向上させるためには、急速かつ進行性の肝細胞破壊の機序の解明と、有効な対策が急務である。 そこで今回我々は、劇症肝炎における宿主の細胞性免疫応答、特に炎症性サイトカインの動態を米国Pittsburgh大学A.W.Thomson教授との共同研究により検討した。その結果、IL-1β、TNF-αおよびIL-6は急性肝炎に比して高値であり肝細胞破壊の程度を反映し、特にIL-1βは発症早期・治療前においても劇症肝炎の予後を反映することが明らかになった。また、IL-1の活性を抑制するIL-1 receptor antagonist (IL-1Ra)は劇症肝炎生存例で死亡例に比して高値であり、発症早期における肝細胞破壊の進展を抑制し得る可能性も示唆された(Clin Exp lmmunol 1994;98:71-77)。 今後の課題として、劇症肝炎における肝細胞破壊の機序をさらに詳細に検討するために、リンパ球を用いた炎症性サイトカインのmRNAの測定や細胞障害性T細胞の変動および炎症細胞浸潤における重要な役割を有する、細胞接着分子の動態についても検討を行っている。
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