研究概要 |
血清アルブミンとAFPの遺伝子は、同一の遺伝子上にtandemに配列し、また両遺伝子の相同性により同一の起源に由来すると考えられている。 それぞれの遺伝子上流にはプロモターやエンハンサー遺伝子が存在し、発現を調節している。特にAFP遺伝子のプロモータとエンハイサー遺伝子の間にはサイレンサー遺伝子が確認され注目されている。 この研究ではアルブミンやAFP産生能を有したヒト肝癌細胞株JHH-4,5,7株を用いて生理活性物質やホルモンによる両蛋白の産生能の変化を観察した。Tumor Necrosis Factor処理によりJHH-5株ではアルブミン産生抑制が強く認められたが、JHH-7では中等度、JHH-4株では一定濃度ではやや産生の増加する傾向も認められた。 ホルモンについてはグルココルチコイドとサイロイドホルモンについて検討した。サイロイドホルモン添加によりJHH-7株ではAFP産生の抑制が強く観察された。一方JHH-4やJHH-5株でのAFP産生抑制は明らかでなかった。またアルブミン産生についてはJHH-7株のAFP産生で認められたような明らかな変動はなかった。 以上より細胞株によりその生理活性物質やホルモンに対する反応性は異なり、トランスクリプショナルファクターにおよぼす作用は異なると考えられる。特にサイロイドホルモン添加時のサイレンサー遺伝子、あるいはホルモンの核リセプターとの関連について検討予定である。
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