研究課題/領域番号 |
05670501
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
白鳥 敬子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70101855)
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研究分担者 |
竹内 正 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20075170)
森吉 百合子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70220100)
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キーワード | 消化管ホルモン / セクレチン / ソマトスタチン / プロスタグランジン / 胃酸分泌 / セクレチン遊離薬剤 |
研究概要 |
消化管ホルモンとプロスタグランジンが消化器疾患の成因、進展に重要な役割を果たすことが知られてきたが、両者の生理的な関係は不明である。本研究では、消化管ホルモン(セクレチン、ソマトスタチン)の生理的な胃液、膵液分泌調節作用に内因性プロスタグランジンがどのように関与しているのか、プロスタグランジン生合成に及ぼす影響を明らかにする。本年度は、まずセクレチン、ソマトスタチンの胃酸分泌抑制作用に対する胃粘膜内プロスタグランジンの役割に関する研究をすすめた。 1.ラット胃内灌流モデルで胃酸分泌をガストリンで刺激し、生理学的な量のセクレチン、ソマトスタチンの胃酸分泌抑制効果をプロスタグランジン合成阻害剤であるインドメタシン投与の有無で検討し、セクレチンの胃酸分泌抑制作用には内因性プロスタグランジンが重要な役割を果していること、ソマトスタチンについてはプロスタグランジンの関与が少ないことが明らかにされた。また、胃粘膜内プロスタグランジンE2濃度はセレクチンにより著明に増加したが、ソマトスタチンは胃粘膜内プロスタグランジン濃度に影響しなかった。以上より、両ホルモンの胃酸分泌抑制機序が異なること、セラクチンの胃酸分泌抑制という生理作用の発現には内因性プロスタグランジンが重要な役割を果していることが証明された。 2.新たに胃粘膜防御因子増強薬にセクレチン遊離作用を見いだし、このセクレチン遊離薬剤をラット十二指腸に投与し血中セクレチン濃度の上昇、胃酸分泌の抑制、胃粘膜内プロスタグランジン濃度の増加を確認した。1.で示した外因性セクレチンのみならず、内因性に遊離したセクレチンについても胃酸分泌抑制作用に胃粘膜内プロスタグランジンが介在していることが明らかにされた。 3.以上より、胃酸分泌抑制ホルモンであるセクレチンとソマトスタチンの作用機序が異なること、セクレチンの生理作用発現には胃粘膜内プロスタグランジンが重要な役割を果していることが証明された。消化管ホルモンとプロスタグランジンが生体で密接に関わっていると考えられた。
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