研究課題/領域番号 |
05670507
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
向坂 彰太郎 久留米大学, 医学部, 講師 (90158923)
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研究分担者 |
原田 大 久留米大学, 医学部, 助手 (00241175)
釈迦堂 敏 久留米大学, 医学部, 助手 (80241181)
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キーワード | 原発性胆汁性肝硬変症 / 原発性硬化性胆管炎 / エンドトキシン / 動物モデル / Heat Shock Protein / 免疫組織化学 / Western Blotting |
研究概要 |
原発性硬化性胆管炎(以下PSC)の病態解明のために、PSCの動物モデルとして、ラット小腸のTreitz靱帯から7cm肛門側に端側吻合により10cm長のBlind Loopを作製した。Blind Loop作製4週後より、肝内門脈域には好中球、リンパ球、形質細胞などの炎症細胞の浸潤を認め、胆管上皮細胞の増生が見られた。6〜8週を経過すると胆管周囲に線維の増生を認めた。また、肝外胆管においても胆管周囲の著明な線維の増生が観察された。総胆管よりの造影剤注入によるX線学的観察では、肝内および肝外胆管に狭窄と拡張像を認めた。このモデルラットの門脈血は高頻度にエンドトキシン陽性を示した。肝および肝外胆管組織と抗エンドトキシン抗体を用いた免疫組織化学的観察では、エンドトキシンは肝内および肝外胆管上皮細胞内にその局在が示された。以上より、ヒトのPSCに極めて類似した病態を呈するラットモデルを作製し、この動物モデルの病態にBlind Loopにおいて産生され門脈血により肝へと運ばれ、肝汁中に排泄後胆管上皮に再吸収されたエンドトキシンが関与することが示唆された。 原発性胆汁性肝硬変(以下PBC)の病態解明のために、PBC患者の生検肝を用いて、Heat Shock Protein (HSP)の発現をWestern BlottingとIn situ Hybridizatonおよび免疫組織化学的に検討した。PBC肝ではコントロール、C型慢性肝炎、PSC患者肝に比べ、肝におけるHSPの発現が増強していた。特に、胆管上皮におけるHSPの発現が著明で、肝細胞においても中等度の発現の増強が観察された。さらに、現在PBC治療の第一選択薬であるウルソデオキシコール酸投与開始一年以上を経た患者肝では、HSPの発現は減弱し、PBC患者の血清生化学的検査値とHSP発現の間に統計学的に有意の相関を認めた。
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