現在、C型肝炎ウイルス(HCV)に関する研究は、そのRNAの塩基配列が決定され、数種類のgenctypeが存在することが明らかになった。しかし、いぜんとして、そのlike cycleは全く明らかにされていない。本研究では、そのため、Chang細胞を10%fetol bovine serum(FBS)添加Eagle MEM培地で培養し、それにC型慢性肝炎肝組織を採取した一部を磨砕、その上清を添加してHCV感染を試みた。感染の確認は5′-ncnecding部位に対するRrobeを用いたin sita hybridization法とHCV coreに対するモノクローナル抗体(岡山教授より戴与)を用いたindirect percxidase staining法をそれぞれ利用して培養細胞を染色、HCV感染率を確めた。この両染色法にほとんど差はみられなかった。感染させて5日間培養後、細胞の凍結融解上清を新しい培養細胞に添加して3代迄の継代培養では約70%の感染率を示したのに対し、無感染のコントロール細胞でも約30%の感染率の増加をみた。一代限りの4週間培養では感染細胞は約80〜90%の感染率を示したのに対し無感染細胞では約40%にHCV陽性細胞の出現をみた。それ故、この差が感染細胞数と考えられた。さらに、RT-PCR法でも、感染細胞及び無感染細胞でも陽性のtarget bandが出現し、市販されている細胞に既にHCVが存在している事が明白になった。無感染で4週間培養でRT-PCR定量法で、10^3copies/mlで感染細胞は10^4〜10^5copies/mlであった。そこで、まず、重感染の研究は後回わしにして、内在HCVの性状をRT-PCR法とdirect seqaence法を用いて5′-noncoding領域は100%II型に、Core領域は93.9%III型に相同性を持ったHCVであることが判明した。現在、この既存の内在HCVを持つChoing細胞の発見はHCV感染細胞が始めて見つけられた事であり、増殖法を開発すれば、HCVのlife cycleの研究や抗ウイルス剤の開発のための道が拓ける事と考えられる。
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