研究概要 |
生体内で唯一のヒスタミン合成酵素であるL-ヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)は、好塩基球/肥満細胞に発現し、phorbol myristate acetate(PMA)投与によりヒト好塩基球細胞株KU-812F,ヒト肥満細胞株HMC-1においてHDC活性が上昇することを報告してきた。我々はHDCの発現調節を解析すべく、HDC遺伝子をクローン化し、平成5年度にはその構造を明らかにし、プロモーター領域の構造を調べて、TATA様配列、GCbox、CACCbox、GATAconsensus sequence、LBP-1結合配列など 種々の転写因子の結合部位が想定され、それらの機能的解析に着手した。HDC遺伝子の5´側上流1000bp以内にGATA転写因子が結合しうる部位が数個存在する。GATA転写因子群は血液細胞の分化に関与しており、特にGATA-1及びGATA-2は肥満細胞の分化に重要な役割を果たしていると考えられている。実際GATA-2プローブを用いてKU-812F,HMC-1の核抽出液についてゲルシフトアッセイを行ったところ、高い結合活性が認められた。このことは好塩基球や肥満細胞の分化とともにHDC遺伝子の発現誘導にGATA-2が関与していることを示しており、このことを明らかにするためにリポーター遺伝子を用いてdeletion assayを施行したが、今のところGATA転写因子が機能していることを示す結果は得られていない。現在-237^〜-153までの間にsuppressive elementがあることを示す結果が得られており、今後更に検討が必要である。
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