1994 年度実績報告書

慢性閉塞性肺疾患における組織再構築に関する研究-好中球、好酸球による増殖因子発現の分子生物学的解析

研究課題

研究課題/領域番号	05670514
研究機関	東北大学
研究代表者	大野勲東北大学, 医学部附属病院, 助手 (00250762)
キーワード	気管支喘息 / 好酸球 / 慢性気管支炎 / 好中球 / 増殖因子 / in situ hybridization / immunohistochemistry / 喀痰
研究概要	1.慢性気管支炎患者の気管支生検組織において、TGFβ1、PDGF-BおよびTNFαのmRNAが、気管支上皮細胞、繊維芽細胞、さらにマクロファージ様の細胞により発現されていることを、in situ hybridizationにて、確認した。 2.上記の組織においてPDGF-BおよびTNFαの蛋白の局在を、気管支上皮細胞、線維芽細胞、さらにマクロファージ様の細胞に、immunohistochemistryにより確認した。 3.これらの増殖因子の遺伝子を発現している細胞数を、半定量的にスコア化し、慢性気管支炎と気管支喘息および正常コントロール(平成5年度のデータ)の間で比較した。 (1)正常群と軽症気管支喘息群の間では、いずれの増殖因子においてもその発現に有意な差は認められなかった。 (2)重症気管支喘息群では、正常群および軽症気管支喘息群に比し、PDGF-Bにおいてのみ、有意により多くの発現細胞を認めた。 (3)慢性気管支炎群では、TGFβ1およびTNFαの発現はいずれの群よりも有意に強く、PDGF-Bにおいては重症気管支喘息群と同程度に強い発現を認めた。即ち、慢性気管支炎および気管支喘息では、ともに慢性気道炎症が特徴とされているが、増殖因子の発現様式は異なることが明らかとなった。 4.気管支喘息および慢性気管支炎の患者から得られた喀痰中の細胞に、GM-CSF,IL-5およびIL-8の蛋白を、immunocytochemistryにより検出することができた。さらに、前者ではGM-CSFおよびIL-5陽性細胞の、後者ではIL-8陽性細胞の比率が有意に高かった。即ち、それぞれの病態発症に関与すると考えられているサイトカインが喀痰中の細胞にも検出可能であることから、喀痰も慢性炎症性気道疾患の病態解明のための有用な検体になりうることが明らかとなった。

研究成果
(9件)

すべてその他

すべて文献書誌 (9件)

[文献書誌] 大野勲: "粘膜上皮と粘膜炎症-気管支喘息をモデルとして-" 免疫薬理. 11. 270-277 (1993)
[文献書誌] 大野勲: "気管支喘息における組織再構築(tissue remodelling)の病態解明" Associated Information of Respirology. 5. 88-94 (1994)
[文献書誌] Nobuhiro Maruyama: "Quinine inhibits production of tumor necrosis factor-α from human alveolar macrophages" Am.J.Respir.Cell Mol.Bicl.10. 514-520 (1994)
[文献書誌] 大野勲: "好酸球のTGFB/PDGF発現" ASTHMA. 8. 65-69 (1995)
[文献書誌] Yuichi Ohkawara: "In situ expression of the cell adhesion molecules in bronchial tissues from asthmatics with air flow limitation iin vivo evidence of VCAM-1/VLA-4---" Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.12. 4-12 (1995)
[文献書誌] Hiroki Hoshi: "IL-5,IL-8 and GM-CSF immunostaining of sputum cells in bronchial asthma and chronic bronchitis" Clin.Exp.Allergy. (in press).
[文献書誌] Isao Ohno: "Eosinophils as a potential source of platelet-derived growth factor B chain(PDGF-B)in nasal polyposis and brochial asthma" Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.(発表予定).
[文献書誌] 大野勲: "呼吸器疾患 -state of arts 1995-'98" 医歯薬出版株式会社, 551 (1994)
[文献書誌] 山内広平: "アレルギー炎症性疾患慢性気道炎症と接着分子" 先端医学社, 577 (1994)

1994 年度 実績報告書

慢性閉塞性肺疾患における組織再構築に関する研究-好中球、好酸球による増殖因子発現の分子生物学的解析

研究代表者

大野 勲 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (00250762)

研究成果

[文献書誌] 大野 勲: "粘膜上皮と粘膜炎症-気管支喘息をモデルとして-" 免疫薬理. 11. 270-277 (1993)

[文献書誌] 大野 勲: "気管支喘息における組織再構築(tissue remodelling)の病態解明" Associated Information of Respirology. 5. 88-94 (1994)

[文献書誌] Nobuhiro Maruyama: "Quinine inhibits production of tumor necrosis factor-α from human alveolar macrophages" Am.J.Respir.Cell Mol.Bicl.10. 514-520 (1994)

[文献書誌] 大野 勲: "好酸球のTGFB/PDGF発現" ASTHMA. 8. 65-69 (1995)

[文献書誌] Yuichi Ohkawara: "In situ expression of the cell adhesion molecules in bronchial tissues from asthmatics with air flow limitation iin vivo evidence of VCAM-1/VLA-4---" Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.12. 4-12 (1995)

[文献書誌] Hiroki Hoshi: "IL-5,IL-8 and GM-CSF immunostaining of sputum cells in bronchial asthma and chronic bronchitis" Clin.Exp.Allergy. (in press).

[文献書誌] Isao Ohno: "Eosinophils as a potential source of platelet-derived growth factor B chain(PDGF-B)in nasal polyposis and brochial asthma" Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.(発表予定).

[文献書誌] 大野 勲: "呼吸器疾患 -state of arts 1995-'98" 医歯薬出版株式会社, 551 (1994)

[文献書誌] 山内広平: "アレルギー炎症性疾患 慢性気道炎症と接着分子" 先端医学社, 577 (1994)

1994 年度実績報告書

大野勲東北大学, 医学部附属病院, 助手 (00250762)

[文献書誌] 大野勲: "粘膜上皮と粘膜炎症-気管支喘息をモデルとして-" 免疫薬理. 11. 270-277 (1993)

[文献書誌] 大野勲: "気管支喘息における組織再構築(tissue remodelling)の病態解明" Associated Information of Respirology. 5. 88-94 (1994)

[文献書誌] 大野勲: "好酸球のTGFB/PDGF発現" ASTHMA. 8. 65-69 (1995)

[文献書誌] 大野勲: "呼吸器疾患 -state of arts 1995-'98" 医歯薬出版株式会社, 551 (1994)

[文献書誌] 山内広平: "アレルギー炎症性疾患慢性気道炎症と接着分子" 先端医学社, 577 (1994)