Pancreatic Thread Proteinの測定は進行性核上肢麻痺とパーキンソン病との鑑別には有効でなかった。 一方補体蛋白成分のC_4dの測定はいくつかの神経変性疾患の鑑別に有効であった。特に進行性核上肢麻痺では明らかに高値で、パーキンソン病と思った。 又、筋萎縮性側核硬化症でも脳脊髄液中のC_4dの濃度は高く、髄内産生が示唆されるとともに頸部脊椎症との鑑別にC_4d濃度測定が有用であると考えられた。 そのほか、慢性炎変性多発ニューロパテ-、ギランパレ-症候群の患者においても検討したが、神経根部の障害が認められる時に骨髄中のC_4d濃度が、蛋白値に先んじて高くなることが示された。 以上今回の研究では補体の測定が種々の神経疾患の鑑別や、病変部位の推定に役立つことを示した。補体等の中枢神経等内での役割はまた全容が解明されていないが、以上のような臨床的検討も行いながら更に研究を進めていきたい。
|