研究概要 |
[目的]アルツハイマー型痴呆(DAT)の発症・進展にフリーラジカル除去機構の異常が想定されているが、系統だった検討がなされていない。そこで、平成5年度我々はDAT皮膚線維芽細胞においてsuperoxide dismutase(SOD)を検討し、異常が存在することを報告した。しかし、SOD以外の他のフリーラジカル除去酵素との関連が明らかでなかった。今回平成6年度は、DAT皮膚線維芽細胞においてcatalase(CAT),glutathion peroxidase(GSX-Px)mRNAsの発現を検討した。 [対象と方法]65才未満発症のアルツハイマー病(AD)7例、65才以上発症のアルツハイマー型老年痴呆(SDAT)12例、脳血管性痴呆(VD)9例、年齢を一致させた若年対照群(CTL1群)7例と老年対照群(CTL2群)12例を対象とした。皮膚線維芽細胞の培養はOhnoらの方法に従い、継代数を一致させてグアニジン法にてtotal RNAを抽出した。ヒトCATおよびGSX-Px cDNAをプローブとしてNorthern blot解析を行い、CATおよびGSX-PxmRNAsの発現を検討した。 [結果]CATおよびGSX-Px mRNAsの発現は、AD,SDA共に対照群に比較して有意な変化を認めなかった。 [まとめ]DAT皮膚線維芽細胞におけるフリーラジカル除去機構の異常は、SODが主因である可能性が示唆された。
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