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1994 年度 実績報告書

多発性硬化症における抗リン脂質抗体出現の意義の研究

研究課題

研究課題/領域番号 05670566
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

山本 悌司  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10106487)

研究分担者 斎藤 佐  福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20215544)
塚本 哲朗  福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (20171978)
キーワード抗リン脂質抗体 / 多発性硬化症 / 神経免疫
研究概要

我々は神経疾患における抗リン脂質抗体の存在を検索する過程で,抗リン脂質抗体のELISA法による測定系を確立し,これまで多数例の血清をスクリーンしてきた.そして,多発性硬化症35例を含めた多数例の神経疾患血清に抗リン脂質抗体陽性を見出した.そのなかで,多発性効果症での陽性率はIgGクラス8%,IgMクラス41%であった.これは非常に高頻度であり,かつ経時的にみると多発性硬化症の急性増悪と密接に関連して消長していることが判明した,そして,これら多発性硬化症の抗リン脂質抗体は,当研究室で精製したヒトβ-2 glycoprotein I(GP1)依存性であることが大多数の症例で証明された.小池らがSLE症例で証明したように,MS血清においても,抗リン脂質抗体がリン脂質ではなく,GP1が陰性に荷電したリン脂質の存在下で立体構造変化(conformational change)を起こし,そこで暴露された抗原を認識することが証明された.すなわち,リン脂質に反応する抗体は,リン脂質が全く存在しなくても,陰性に荷電したELISAプレートの使用によりGP1と反応することも確認された.また,これら精製抗体はDNA単鎖,2重鎖いずれかと交差反応を示すことが判明した.
以上の結果から多発性硬化症患者の抗リン脂質抗体は,基本的にSLEに見出される抗リン脂質抗体とほぼ同一の抗原スペクトラムを有していることが判明した.抗リン脂質抗体という液性免疫異常の観点から本症の病因を究明することは,細胞性免疫研究からのみでは不十分であった多発性硬化症の病因解明の糸口になると思われる.多発性硬化症患者の抗リン脂質抗体の性格はSLEとかなり類似したものと考えられる.SLEでは時にMSと類似した神経症状をきたすことが知られている.この事実は,多発性硬化症でも抗リン脂質抗体が中枢病変を惹起する何らかの役割を担っていることが推定される.

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] T.Sugiyama T.Yamamoto: "SERUM ANTI-PHOSPHOLIPID ANTIBODIES IN PATIENTS WITH MULTIPLE SCLEROSIS" Tohoku J Exp Medicine. (in press).

  • [文献書誌] 杉山泰二 山本悌司: "抗リン脂質抗体と視神経疾患" 神経眼科. 11. 194-196 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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