研究概要 |
変性性神経疾患の中でも運動ニューロン病は原因が全く不明であり,治療法も現在のところ皆無の状態にある。近年,運動ニューロン病での核酸代謝異常や,一部の家族性筋萎縮性側索硬化症における遺伝子異常が報告されているが,多くの弧発生運動ニューロン病での分子生物学的アプローチはその端諸についたにすぎない。本研究では50例におよぶ運動ニューロン病の剖検脊髄,および凍結下にある剖検脊髄について神経成長因子、神経成長阻害因子、軸索流に関係する細胞骨格蛋白,Tau,Rosenらの家族性運動ニューロン病の報告に準じてSOD等の遺伝子レベルでの発現状態,および異常の有無を変性性神経疾患以外で死亡したコントロール脊髄と対比して検討している。 平成5年度に本研究を開始し,現在,自験家族性運動ニューロン病症例(構成員10数人,発症者4人)についてSODの遺伝子変異についてExon1について検討を行なっているところである。現在のところ,Exon1では有意な結果を得られていないため,他のExon1について検討を開始したところである。我々の研究の主たる対象である細胞骨格については,キネシン,MAP1c,Tauについて合成プライマーを作成済みであり、ホルマリン固定下の脊髄について検討を開始した。また,一部の脊髄凍結切片からは凍結乾燥切片を作成し、RNAを抽出するための準備が整ったところである。また,一部の凍結切片についてはスライドガラスに塗布し,ハイブリダイズの準備を完了した。現在,まだ有意な結果は得られていないが,近日中に何等かの結果を得ることができると考えている。
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