糖原病II型のモデル動物である日本ウズラ糖原病II型の筋芽細胞を用いて、acid α-glucosidase(GAA)の特徴的な合成経路に着目した治療実験を行った。GAAは高分子前駆体として合成され、一旦細胞外へ分泌された後、再び細胞内へとりこまれmature typeへと変換される。そこで、正常筋芽細胞と欠陥筋芽細胞を混合培養しhybrid myotubeを形成させ欠陥細胞の酵素活性が回復されるかを、in vitroにおいて検討した。今回の実験系で、疾患細胞は10%の正常細胞との混合培養で酵素活性が正常の27%から54%と2倍に上昇した。正常細胞からのGAA前駆体が疾患細胞へとりこまれprocessingをうけていることが予想される。正常細胞の割合をどこまで少なくできるかが課題であるが、導入細胞あたりの酵素発現を高めることでクリアできるかもしれない。そのために、自家筋芽細胞にGAAcDNAを導入して酵素活性の高いcell lineを得る方法も考えられる。そこで、GAAcDNAを得ることを目的としたPCR実験を行い590bpのバンドが得られたが、今回得られたPCR産物は塩基配列を検討した結果偽産物であることが判明し、現在λgt11ベクターにより構築されたウズラ筋肉cDNAlibraryよりさらにGAAcDNAをクローニング中である。また、今回の研究において各種血清中のGAA活性を検討したところ血清中にもGAAが存在し、種によっては高値をとるものがあることが明らかになった。in vivoにおいて血漿交換も治療に有用である可能性があると思われる。
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