研究課題/領域番号 |
05670584
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
成冨 博章 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長 (60132932)
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研究分担者 |
金城 勝 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室長 (10132929)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 脳虚血 / 熱ショック蛋白 / 虚血耐性 / アストロサイト / 脳エネルギー代謝 / ^<31>P NMR スペクトロスコピー / 海馬 / 遅発性神経細胞死 |
研究概要 |
近年、砂ネズミやラットの脳にあらかじめ短時間の前脳虚血負荷を与えておくと、その後長時間に前脳虚血侵襲に対し海馬CAI細胞が耐性を示すことが報告されるようになった。本研究研では局所性脳梗塞後、周辺の神経細胞が耐性を示すか否かについて検討を行った。雄砂ネズミに頭蓋磁石-微小鉄粒子静注による右頭頃真皮質小梗塞または中大脳動脈閉塞による右皮質線条体梗塞を作成した。梗塞3時間後〜7日後に行ったinsitu hybridizationによる検討では梗塞およびその周辺にHSP70mRNAの誘導は見られなかった。しかし免疫組織化学法(GFAP染色)による検討では梗塞3日後に梗塞巣および直下の海馬CAI領域に著明な反応性アストロサイトの出現が認められた。梗塞1、3、7日後に5分間前脳虚血を負荷し、その1週間後に組織学的検討を行ったところ、非梗塞側の海馬CAI細胞は時期のいかんにかゝわらず広範囲な細胞死を示した。一方、梗塞例のCAI細胞は3日後の群では大半が生存しており、特に梗塞直下のCAI領域で虚血耐性が著明であった。1日後の群でも軽度な虚血耐性が認められたが、7日後の群では耐性は見られなかった。梗塞3日後に^<31>P-NMRスペクトロスコピーによる検討を行ったところ、あらかじめ梗塞が存在するか否かにかゝわらず脳エネルギー代謝は著明な障害を示した。以上の結果から、あらかじめ局所的な虚血病巣が存在すると、その後、数日間周辺の神経細胞が虚血耐性を示すことが明らかにされた。この局所的な虚血耐性は熱ショック蛋白の誘導やエネルギー障害の軽減によるものではなく、反応性アストロサイトの神経細胞保護作用等による可能性が高いと考えられた。
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