研究課題/領域番号 |
05670594
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安東 克之 東京大学, 医学部(分), 助手 (60184313)
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研究分担者 |
長瀬 美樹 東京大学, 医学部(分), 医員
一色 政志 東京大学, 医学部(分), 医員
藤田 敏郎 東京大学, 医学部(分), 助教授 (10114125)
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キーワード | 内皮依存性弛緩因子 / 細胞内アルカリ化 / トロボキサンA_2 / スーパーオキサイド / 塩化アンモニウム |
研究概要 |
本態性高血圧症患者はほとんど例外なく末梢血管抵抗の上昇を認め、体液量依存性の食塩感受性高血圧症においてさえも血管抵抗上昇が高血圧発症維持に重要であると考えられている。ナトリウム(Na)過剰が血管抵抗上昇を来す機序として、細胞膜Na輸送機構の異常について多くの検討がなされてきた。その機序は、血管収縮に重要な役割を果たすカルシウム(Ca)イオンとの関連で多方面から検討されているが、十分な成果が上がっていない。ここで、細胞内pHの調節にもNaイオンが関与しており、細胞膜のNa-H交換の異常が高血圧発症に関与している可能性が示唆される。われわれはラット胸部大動脈リングの実験系で、Na-H交換が血管内皮依存性弛緩反応に重要な役割を果たしている可能性を指摘したが、さらにNa-H交換亢進の結果生じると考えられる内皮細胞内アルカリ化が内皮依存性弛緩反応に与える影響について検討した。すなわち、少量(3mM)の塩化アンモニウム(NH_4Cl)投与によって細胞内をアルカリ化するとアセチルコリン(ACh)による内皮依存性弛緩反応は減弱した。さらに、N^G-nitro-L-arginine methyl esterで前処置するとNH_4Cl投与した大動脈はAChで逆に血管収縮を生じることから、細胞内アルカリ化によって内皮依存性血管収縮因子が放出されると考えられる(内皮除去するとこの反応は生じない)。これらの反応はdazmegrelをはじめとするトロンボキサン(Tx)A_2合成系の阻害やTxA_2受容体拮抗薬S145、superoxide desmutaseによって正常化することから、TxA_2ならびにスーパーオキサイドの関与が考えられた。
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