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1995 年度 実績報告書

心臓虚血再灌流障害における活性酸素ラジカルの役割

研究課題

研究課題/領域番号 05670602
研究機関浜松医科大学

研究代表者

金子 雅則  浜松医科大学, 医学部, 助手 (70191989)

キーワードフリーラジカル / 虚血再灌流障害 / カルシウム過負荷 / 核磁気共鳴 / 糖尿病 / 解糖系阻害
研究概要

第一の研究課題は,心臓の虚血再灌流障害の成因としての活性酸素ラジカルとカルシウム過負荷との関係を解明することである。心臓を過酸化水素(H_2O_2)で灌流し,^<19>F-NMRで細胞質内カルシウムイオン濃度([Ca^<2+>]_i)を測定した。[Ca^<2+>]_iは,H_2O_2投与前の315±23nMから投与後28分の701±58nMに上昇した。[Ca^<2+>]_i上昇の経過は,左室拡張末期圧の上昇の経過に一致していた。また,H_2O_2の暴露は,解糖系阻害を介し心筋内ATP量を減少させた(^<31>P-NMR)。以上より,H_2O_2は心筋に対し,虚血再灌流障害における変化と同様のATPの枯渇とCa^<2+>overloadを生じさせることが明らかになった。これは,心臓におけるH_2O_2産生が,虚血再灌流時の病態に大きく関与している可能性を示唆した。
第二の研究課題は,糖尿病心の活性酸素ラジカルに対する反応性の違いを解明することである。糖尿病はストレプトゾトシンにて発症させた。糖尿病心をH_2O_2で灌流し,心機能および高エネルギーリン酸代謝の変化を測定し,正常心と比較した。さらに,insulin治療をした糖尿病心についても同様の実験を行った。H_2O_2の暴露に対し,糖尿病心の心機能障害,ATPの減少はいずれも軽度であった。insulin治療はそのラジカル耐性を減弱させた。耐性獲得の機序として,解糖系阻害の軽減およびCa^<2+>overloadの回避が推測された。この結果は,臨床的にショッキングであるとともに,糖尿病心の虚血再灌流障害に対する耐性獲得に関与している可能性が示唆された。

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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