カルモデュリン依存性蛋白燐酸化酵素による一酸化窒素合成酵素調節と脳動脈硬化症

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05670603
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 吉峯 徳 名古屋大学, 医学部, 助教授 (40022842)
• 研究分担者: 林 登志雄 名古屋大学, 医学部, 医員 ; 内藤 通孝 名古屋大学, 医学部, 助手 (10198012) ; 浅井 幹一 名古屋大学, 医学部, 講師 (70151008) ; 井口 昭久 名古屋大学, 医学部, 教授 (20109763)
• キーワード: 動脈硬化 / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / 脳血管 / カルモデュリン依存性蛋白燐酸化酵素II

研究概要

NOは、NO合成酵素(NOS)により生成され、NOSは、Aキナーゼ、Cキナーゼと共にCa^<2+>カルモデュリン依存性プロテインキナーゼキナーゼII(キナーゼII)によって、リン酸化される。キナーゼIIは、その欠損ラットにおいて海馬における長期増強の低下等が報告されている。高血圧症自然発症ラット(SHRラット)を用い、第三脳室内に各試薬を投与し、記憶への影響を検討した。終了時のpassive avoidance法による回避時間には、LNMA、KN62投与群には、生食群と差を認めなかった。八字型迷路学習において、LNMA投与群、KN62投与群は、有意に空間記憶障害をもたらした。全身の血行動態には影響は認められず、脳に特異的な作用と考えられた。家兎頚動脈および脳底動脈を用いEDR(NO分泌反応)に対するキナーゼIIの関与を検討した。頚動脈におけるアセチルコリン(ACh)によるEDRは、キナーゼII拮抗薬KN62、KN93にては影響を受けなかった。内皮非依存性弛緩反応に対しても影響しなかった。低濃度KCl収縮により、内皮由来過分極因子(EDHF)をブロックし、AChによるEDRを見ると、KN93投与によりEDRは部分回復を認めた。脳底動脈においても、同様でKCl前処置によりAChによるEDRは低下し、KN93は部分回復させた。KN93はNOS活性を低濃度で促進、高濃度で抑制した。キナーゼIIが、NO分泌に作用を持ち、脳動脈硬化、記憶障害発症に関与している事を見出した。

研究成果

• [文献書誌] Ito I,Hayashi T,Iguchi A et al.: "Physiological concentration of estradiol inhibits polymorphonuclear leukocyte chemotaxis via a receptor mediated system" Life Sciences. 25. 2247-2253 (1995)
• [文献書誌] Naito M,Hayashi T,Iguchi A: "New Approaches to the prevention of atherosclerosis." Drugs. 50. 440-453 (1995)
• [文献書誌] Hayashi T,Naito M,Iguchi A et al.: "Estrogen augments endothelial and cerebellar constitutive nitric oxide synthase by receptor and calmodulin-dependent mechanism." Circulation. 92. I-S64- (1995)
• [文献書誌] Yamada K,Hayashi T,Iguchi A et al.: "Physiological concentration of 17β-estradiol inhibits,chemotaxis of human monocytes in response to monocyte chemotactic protein-1" Artery. (印刷中). (1996)
• [文献書誌] Suzuki Y,Hayashi T,Iguchi A et al.: "Central administration of a nitric oxide synthase inhibitor impairs spartial memory in spontaneous hypertensive rats." Neuronierce letter. (印刷中). (1996)