16週齢の雄性SHRとWKYにおいて、AT1A及びAT1B mRNAの発現を心、腎、副腎、大動脈で比較検討した。AT1受容体拮抗薬であるTCV-116の一週間投与により、AT1A mRNAが心、大動脈において、AT1B mRNAの発現が副腎、心臓においてSHR、WKYともに有意に減少した(Hypertension Research)。Delapril及びTCV-116によりSHRを4週間飼育すると両薬剤とも有意の血圧の下降と心肥大の退縮が認められたが、この心肥大の退縮はAT1A、AT1BいづれのmRNAの発現変化も伴わなかった。ratの副腎におけるAT1 mRNAの発現を詳細に検討した。SHRに対する降圧薬による4週間の治療は、Delapril投与では副腎のAT1A、AT1B mRNAの発現を共に有意に低下させたが、TCV-116投与群では変化を認めなかった(Blood Pressure)。血管平滑筋におけるAT1、AT2 mRNAの発現を検討し、SHR、WKY共に、培養血管平滑筋においてAT1およびAT2の発現を認めた。SHR、WKY共に、AT1サブタイプではAT1Aの発現が有意であった。さらに、外因性にLDLを投与した実験においてAT1はSHR、WKY共に不変であったが、AT2はWKYにおいてその発現が有意に減少し、SHRとの間に差異を認めた。 さらに、アンジオテンシンIIのもう一つの受容体であるAT2のmRNAレベルの測定が出来るようにRT-PCR法を開発した。
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