研究概要 |
アンジオテンシンIIの受容体は現在までに明らかなところでは、AT1とAT2のサブタイプがクローニングされているが、AT2の生理作用はAT1に比して不明な点が多い。AT2受容体の生理機能を検討する目的で、昨年開発したAT2受容体のRT-PCR法を用いてレニン・アンジオテンシン系を変化させた場合のラット組織におけるAT2mRNAの発現を検討した。 定量は人工的に作製したdeletion mutantをコントロールとしたcompetitive RT-PCRにより行った。このRT-PCR法はにより数fg程度のAT2受容体遺伝子発現を定量することが可能であった。 12週令の雄性,Splague-Dawleyラットに対して両側腎摘出(BNx)48時間とアンジオテンシンII末梢投与(6nmol/hr,7日間)を行い、その効果をAT2受容体の発現が豊富な副腎、脳組織(間脳、脳幹)において検討した。両側腎摘出の影響は副腎において、末梢性アンジオテンシンII投与の影響は副腎、間脳、脳幹組織において検討した。 アンジオテンシンII末梢投与,両側腎摘除はともにラット副腎におけるAT2受容体発現を増加させた。また、アンジオテンシンII末梢投与はラット脳の脳幹においてAT2受容体発現を減少させた。 以上、AT2受容体の発現に関しては未だ明らかにされていないが、レニン-アンジオテンシン系の変化に対応して調節され得ること、またその調節は臓器特異的になされていることが明らかになった。
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