研究課題/領域番号 |
05670619
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大園 慶三郎 九州大学, 医学部, 助手 (40260377)
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研究分担者 |
江頭 健輔 九州大学, 医学部, 助手 (60260379)
小柳 左門 九州大学, 医学部, 助教授 (90128017)
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キーワード | 冠循環 / グリベンクラミド / ATP感受性カリウムチャンネル |
研究概要 |
【研究目的】 心臓では酸素消費量の変化に対応して必要十分な血流量が供給されることが心機能の維持に不可欠である。このため、冠循環には運動や心拍数増加により心筋酵素消費量が増加すると、その増加に見合うだけ冠血流量を増加させる調節機構が内在している。しかし、これらの冠循環調節の機序は未だ不明である。本研究では、冠循環の血流調節機構におけるATP-sensitive K^+ channels(K_<ATP>チャンネル)の役割を明らかにすることを目的とした。 【研究成果】 平成5年度に以下の点を明らかにすることができた。 【.encircled1.】安静時の冠血流量維持におけるK_<ATP>チャンネルの役割. 実験は麻酔開胸犬を用いて行った。K_<ATP>チャンネルの選択的拮抗薬であるglibenclamideを冠動脈内に選択的に投与すると冠血流量は用量依存性に低下し、心筋虚血が生じた。K_<ATP>チャンネル開口薬ピナシジルや亜硝酸薬によって冠血流低下を防止すると、glibenclamideによる心筋虚血は出現しなかった。この成績は、K ATPチャンネルが冠血流の維持機構に重要な役割を果たしていることを示唆する(Am J Physiol 1992)。 【.encircled2.】交感神経beta受容体刺激による冠血管拡張におけるK_<ATP>チャンネルの役割. 非選択的beta刺激薬isoproterenol(ISO)による冠血管拡張はglibenclamide5mu g/minにより抑制された。しかし、beta遮断薬後のISOによる拡張はglibenclamideにより変化しなかった。選択的beta1刺激薬denopamineによる冠血管拡張はglibenclamideによりほとんど消失した。これらの成績から、心筋beta1受容体刺激による心筋酵素消費量増加に伴う代謝性冠血管拡張はK_<ATP>チャンネルを介することが推測された(Am J Physiol in press)。
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