研究課題/領域番号 |
05670621
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小川 久雄 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50177135)
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研究分担者 |
泰江 弘文 熊本大学, 医学部, 教授 (40174502)
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キーワード | activated protein C / t-PA / plasminogen activator inhibitor / thrombolysis / reocclusion |
研究概要 |
犬の急性心筋梗塞モデルにて、活性型プロテインC製剤の血栓溶解療法後の再閉塞予防効果を確認しえた。すなわち、tissue-type plasminogen activaton(t-PA)製剤投与により、再灌流を確認後、ヘパリン投与群(200U/kg)(n=10)およびコントロール群(n=10)においては、120分の経過観察にて全例に再閉塞が生じたのに対し、活性型プロテインC製剤投与群(0.6mg/kg)(n=10)では、10例中3例にしか生じず(p<0.05)、また、再灌流から再閉塞までの時間も有意に延長した(活性型プロテインC製剤投与群103.2±14.2分、コントロール群10.2±2.3分、ヘパリン投与群30.3±11.8分)。さらに、活性型プロテインC製剤投与群では、ヘパリン投与群に比し、出血時間の延長も少なかった。活性型プロテインC製剤は、急性心筋梗塞患者の血栓溶解療法後の補充療法として、有効な治療法となる可能性が示唆された。近年、急性心筋梗塞患者に対してのt-PA治療時に認められる出血の合併症が問題となっており、この意味からも活性型プロテインC製剤は有効な治療薬となりうると考えられる。また、臨床的検討では、急性心筋梗塞患者においてt-PA治療開始4時間後よりt-PAのinhibitorであるplasminogen activator inhibitor(PAI)活性の上昇が認められ(10.7±2.9IU/mlから27.0±2.9IU/ml、p<0.01)、24時間まで持続した。このことは、t-PA治療により再灌流が得られた後も、24時間にわたって線溶系が障害され続ける可能性が示唆された。活性型プロテインCは、実験的にPAIを不活化しt-PAの活性を保護することが知られている。活性型プロテインC製剤の再閉塞予防効果は、この機序が関与しているかもしれない。次の研究段階として、急性心筋梗塞患者の活性型プロテインC製剤の再閉塞予防効果を検討する予定である。
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