研究課題/領域番号 |
05670627
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
浦 信行 札幌医科大学, 医学部・救急中治療部, 講師 (20185078)
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研究分担者 |
中川 基哉 札幌医科大学, 医学部・第2内科, 講師 (40207741)
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キーワード | kidney / neutral endopeptidase 24.II / kinin / atrial natriuretic peptide / nitric oxide |
研究概要 |
Kininは血管拡張作用、Na利尿作用を有する局所ホルモンである。腎には複数のkinin分解酵素が存在するが、我々はneutral endopeptidase24.11(NEP)がその主体で、正常血圧ラットにおけるNEP阻害が腎水・Na排泄促進を引き起こし、この機序に心房性Na利尿ペプチド(ANP)の関与は少なく、腎kinin増大を介する可能性を報告した。本年度は、NEP阻害に基ずくkininの腎作用に内皮由来血管弛緩因子(EDRF)がいかに関わるかを検討した。 1)NEP阻害剤のUK73967の投与で、尿中NEP、総kininaseの有意な抑制と、尿中kinin、尿量、尿中Na排泄量の有意な増加をみるが、EDRFの生成酵素阻害剤であるL-NMMAの前処置でUK73967の尿中NEP、総kininase抑制とkininの増加作用は同様に認めたが、尿量、尿中Na排泄増加作用は消失した。 2)同様の実験系を用いてL-NMMA前処置下にUK73967とkininの受容体拮抗剤であるHoe140を同時投与しても尿量、尿中Na排泄量は不変であった。 3)L-NMMA前処置下の対照群、UK73967投与群、UK73967+Hoe140投与群において、実験終了時に測定した血漿ANP濃度は、3群間に差を認めなかった。 以上のことから、少なくとも正常血圧ラットにおけるNEP阻害の際の水・Na排泄の促進にANPの関与は少なく、腎kinin増大を介するものが主体で、このkininの腎作用の少なくとも一部はEDRFを介するものと考えられた。従来、kininの血管拡張作用の一部がEDRFを介する可能性は報告をみるが、腎作用に関する報告は認めず、新知見と考えた。
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