研究概要 |
一般研究(C)の助成を受け、Naイオンおよび甲状腺ホルモンによる心筋、血管平滑筋および腎メサンギウム細胞におけるNa,K-ATPase遺伝子の発現制御機構について解析し、以下の研究成果を得た。 (1)ラット培養メサンギウム細胞では、Na,K-ATPase alpha_1およびbeta_1鎖アイソフォームが存在し、甲状腺ホルモンは転写レベルでalpha_1およびbeta_1遺伝子の発現を亢進した(Am J Physiol 265:F370-376,1993)。 (2)ラット培養心筋細胞にウアバインを添加すると細胞内Na^+量が増加し、Na,K-ATPase mRNAおよびタンパク量が増加する。また、Na,K-ATPase遺伝子の5〓上流領域にNa^+の作用部位の存在する可能性が示唆された(J Clin Invest;92:1889-1895,1993)。 (3)さらに、Na^+による血管平滑細胞のNa,K-ATPase遺伝子の発現制御についても検討し、Na^+が同様に平滑筋細胞のNa,K-ATPase遺伝子の発現を転写レベルで調節していることを明らかにした(Cardiovasc Res,印刷中)。 尚、平成5年度に予定していた各種病態モデルにおけるNaポンプ遺伝子の発現については、既に高血圧自然発症ラットおよび心筋症ハムスターを用いえ開始しているが、その成果は平成6年度以降に達成される見込みである。
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