研究概要 |
平成6年度の研究実績については、当初の研究計画をほぼ達成でき、新たに以下の知見が得れた。 (1)ラット培養血管平滑筋細胞にaldosteroneホルモンを添加すると、Na,K-ATPase mRNAの発現量が時間および濃度に依存して増加した.また、Na,K-ATPase mRNAの発現量に比例して、タンパク量も増加した.さらに、reporter gene assayにより、Na,K-ATPase遺伝子の5′上流領域にaldosteroneの作用部位の存在する可能性が示唆された(Am J Physiol265:H1167-H1172,1993). (2)高血圧自然発症ラット(SHR)の各臓器におけるNaポンプ遺伝子の発現異常を明らかにし、病態への関与について示した.すなわち、SHRでは高血圧発症前の4週齢において、既に正常高血圧ラット(WKY)に比し、心臓、大動脈、腎において、Naポンプ遺伝子の発現亢進を認めた. (3)新たに、心筋細胞におけるNa/Ca交換系遺伝子の発現制御についても検討を始めた.甲状腺ホルモンは、細胞内Na^+濃度に影響することなくNa/Ca交換系遺伝子の発現を抑制した.一方、ウワバインの添加により細胞内Na^+を増加させると、Na/Ca交換系遺伝子の発現は著明に亢進した.
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