研究概要 |
1) ショックにおける心筋虚血出現時(平均40血圧mmHg、および30mmHg)の心筋血流を非放射性マイクロスフィア(15μ)を用いて測定した。その結果、心筋内膜側と外膜側の血流比は対照時と変化していないことが判明した。しかし、心筋虚血分布は心内膜側に有意であったことから、血流分布にはよらない機序により、心内膜側心筋が虚血に陥りやすい機序を有していることが明らかとなった。その機序として、心内膜側の酸素消費が心外膜側よりも高い可能性が考慮された。 2)凍結心筋の虚血部位を、拡大蛍光撮影用いて撮影し、画像解析装置(Ibas,Zeiss Co,Ltd.)により計測した。微小なNADH蛍光増加領域は、心筋線維と相似の形状を有し、その短径は60-80μに最頻値を有することが明らかとなった。この値は、従来報告されているintercapillary distance(約20μ)の約3-4倍で、機能的な心筋内微小循環の最小単位を示すものと考えられた。 3)ショック中の血液中カテコラミンは著明に増加していることが明かとなった。心筋虚血に関与する、α活性の関与を検討するために、α遮断薬(ブナゾシン、フェノキシベンザミン)を前投与してショックを作成した。薬理学的にα遮断を行うと、心筋虚血は消失した。以上より、ショックにおける心筋虚血の形成には、α受容体を介した微小循環系のトーヌスの亢進が関わることが明かとなった。
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