研究課題/領域番号 |
05670633
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
堀 進悟 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80129650)
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研究分担者 |
足立 健 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50231931)
宮崎 浩司 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90219759)
井上 宗信 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10193591)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | ショック / 心筋虚血 / 冠循環 / NADH / cathecolamine / NO / right ventricle / L-NAME |
研究概要 |
本研究の目的はショックにおける心筋虚血の特徴を明らかにすることである。麻酔開胸イヌの鎖骨下動脈にレザヴァーを装着して血圧を調節し、ペーシング(170-180bpm)を行った。ショック10分後に、短軸面に沿って拍動心を120msecで切断圧迫凍結して心筋凍結標本を作製しNADH蛍光を観察した。大動脈平均圧が40mmHg以下の条件では、心内膜側を中心にNADH蛍光の増強部位が出現した。さらに血圧を低下させるとNADH蛍光増強部位は貫壁性に広がった。心筋の微量サンプリングを行い化学分析を行うと、蛍光増強部位ではNADH増加、NAD/NADH比の低下、乳酸濃度の増加、creatine phosphateの低下、すなわち嫌気的解糖とエネルギー代謝の悪化を認めた。ショックでは灌圧の低下にともない冠血流は低下したが、冠血管抵抗は大動脈平均圧40mmHgまで低下せず、さらに反応性充血も保持され、内外膜側心筋・血流比も低下しなかった。すなわち冠血管予備能は保たれていた。交感神経のα作用などが冠循環の血管トーヌスを高め、虚血の誘発に関わる可能性が示唆された。ノルエピネフリン、エピネフリンは共に著明に増加していた。 左室と同様に右室心筋にも大動脈圧40mmHg以下では虚血が誘発された。右室の心筋血流量低下の幅は左室よりも軽度であったが、ショックにともなう仕事量低下も軽度であった。 L-NAME、前投与後にショックを誘発すると、心筋虚血領域は有意に大きくなり、ショック後にL-NAMEを投与すると冠血流が減少したことより、一酸化窒素(NO)は冠血管ロ-ヌスを低下させて心筋虚血を抑制する役割を果たすことが示唆された。
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