研究課題/領域番号 |
05670647
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本家 孝一 北海道大学, 医学部, 講師 (80190263)
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研究分担者 |
石井 睦 北海道大学, 医学部, 助手 (60241311)
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キーワード | アリルスルファターゼ / 遺伝病 / リソゾーム / 先天代謝異常 / スフィンゴリピドーシス / ムコポリサッカロイドーシス / 複合糖質 |
研究概要 |
本邦で経験されたアリルスルファターゼA(ASA)欠損症の異染性脳白質変性症(MLD)とASB欠損症のマルトーラミー病(MLS)症例について、その遺伝子異常と発現異常を明らかにすることを目的とし、以下の結果を得た。 1.48歳で死亡した女性の成人型MLD症例について解析した。患者のASA酵素活性と酵素蛋白量は、それぞれ、健常人対照の6%と10%以下であった。患者ASA遺伝子の全コーディング領域の塩基配列を調べた結果、エクソン2に塩基置換が見つかり、患者のASAでは122番目のグリシンがセリンに置き換わっていることが推定された。そこで、変異ASAcDNAをCOS-1細胞で発現させると、ASAmRNA量には差がなかったが、抗ASAポリクローナル抗体と反応する蛋白質は殆ど検出されず、酵素活性も発現しなかった。このことは、変異ASA分子が翻訳後修飾の過程で分解された可能性が高いことを示唆する。 2.若年型MLD症例の遺伝子変異を調べた結果、以前に新潟大学のグループが報告している^<99>Gly→Aspと同じ点突然変異であった。 3.3歳時に発症した重症型MLS女児について解析を行った。ASBは翻訳後修飾の過程で限定分解を受け、成熟型ASBは三量体として存在するが、本患者のASBcDNAは、第2切断部位近傍の421番目のグルタミン酸をコードする塩基が終止コドンに置換していた。変異ASBcDNAをヒト胎児性腎細胞で発現させたところ、N末端側のサブユニットに相当する分子量43Kの蛋白分子を合成したが、酵素活性を発現しなかった。ASBの酵素活性発現にはC末端側のサブユニット構造も必要であることが示唆された。
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