平成3年度に旭川医科大学附属病院で分離されたMRSA87株(85%がコアグラーゼII型)について、プラスミドプロファイルと薬剤感受性試験を行った。プロファイルはAからGの7パターンが得られた。47株(54%)がプロファイルA、10株がプロファイルB、プロファイルC、D、E、F、Gがそれぞれ3、1、3、1、1株で、プラスミドをもたない株が21株あった。薬剤感受性試験は9薬剤について行ったが、ミノサイクリン(MINO)で感受性株(MIC0.5or1μg/ml)と中等度耐性株(MIC4or8μg/ml)に分かれ、分離株数の多いプロファイルAの株はMINOの感受性パターンとの組み合わせによりさらに分類が可能と考えられた。それによる病棟におけるMRSAの分布をみると一つの外科病棟にプラスミドAでMINO感受性の株の集積を認めた。また、プラスミドAでMINO耐性の株はもう一つの外科、脳外科、皮膚・泌尿器科病棟から多く分離され、プラスミドCの株は耳鼻科病棟からだけ分離された。 平成4年度以降に分離された400株以上のMRSAについてもその一部について検索をすすめたところ、プラスミドプロファイルAからプロファイルBへの流行の変化を認めた。また鹿児島大学医学部小児科から分与されたMRSAについても調べたところ、いずれの株も当大学の株とは異なるプロファイルを示した。 さらにパルスフィールド電気泳動法を用いて疫学的マーカーとしての有用性を検討したところ、プラスミドプロファイルAの株は10パターンに分かれ、より詳細な検討が可能と考えられた。今後この方法による疫学的調査を継続予定である。
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