【目的】 ダニ特異IgEが高値でダニアレルギーのある喘息患者と非喘息患者で、ヒスタミン遊離能、末梢血好酸球数とECP値、メサコリン吸入閾値(PC_<20>)を比較し、化学伝達物質の遊離から、好酸球性炎症を経て、気道の過敏症の獲得に至るプロセスのどこに差異があるのかを検討した。 【対象】 A群:ダニアレルギーのある喘息患者(36例)、B群:ダニ特異IgEの高い非喘息者(36例)、C群:ダニアレルギーも喘息もない健常者(21例)。 【方法】 特異IgEはセファローズRAST法、ヒスタミン遊離能はImmunotech RIAキット、末梢血好酸球は直接法、血清ECPはPharmacia RIAキットで測定。気道過敏性は日本アレルギー学会標準法に準じた。 【結果】 I.50%ヒスタミン遊離能(μg/ml)はA群2.99、B群6.75、C群100以上でA群、B群はC群よりも有意に低値であったがA群とB群の間には有意な差は認められなかった。 II.好酸球数(/μl)はA群603、B群269、C群112でA群はB、C群よりも有意に高値であった。B群はC群よりも有意に高値であった。 III.血清ECP値(μg/l)はA群12.6、B群7.6、C群4.4でA群はB、C群よりも有意に高値であった。B群はC群よりも有意に高値であった。 IV.メサコリン吸入閾値(mg/ml)はA群0.4、B群6.5、C群20.4でA群はB、C群よりも有意に低値であった。B群はC群よりも有意に低値であった。 【結論】 ダニ特異IgE高値の非喘息者は好酸球性炎症の程度が軽度であり、気道過敏症を獲得しにくいことが示唆された。
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