卵アレルギー患者(臨床的に明らかなアレルギーがあり、血清のRAST scoreが3以上)の末梢血リンパ球よりT細胞クローンを得るため、まず、オボムコイド、オボアルブミン、テタヌストキソイド、PPDを用いての刺激条件を検討した。他の研究者の用いた方法を試験したところ、ヒト血清の存在下に、抗原による刺激を2回おこなった後、リコンビナントIL-2を添加することで非特異的なT細胞クローンを得る頻度が減ることがわかった。また、T細胞クローンの増殖には、抗CD3抗体と、放射線をかけ増殖できなくしたリンパ球(feeder細胞)の組み合せを、およそ2週間に1回、培養フラスコに加えるのが最も良かった。至適条件下で末梢血リンパ球を培養し、リミッティングダイリューション法によりクローニングし、いくつかの抗原特異的なクローンを得ることができた。反応性の特異性は、それらクローンを各種抗原と培養し、増殖をトリチウムチミジンの取り込みで確認した。樹立クローンの性格の詳細(表面抗原、T細胞レセプターの種類、産生リンフォカイン、認識するMHC分子)は、今後T細胞クローンの増殖を待って行なう予定である。これと平行して、認識される抗原エピトープを決定するため、自己のEBVトランスフォームB細胞(抗原提示細胞として用いる)を増殖させている。個体間の差異、アレルギー患者と健常者の違いを探るため、現在精力的にT細胞クローンを増やしているところである。
|