研究概要 |
27名の高血圧あるいは正常血圧小児を対象に、血小板Caポンプ受容体数、尿中Ca濃度、血漿補正Ca濃度、赤血球膜Naポンプ受容体数を測定した。成績は平均値と標準偏差で示し、t検定で二群間の成績を比較した。また、各因子間の関連は単相関係数を算出し、統計学的に検討した。その結果、次の知見が得られた。 1.血小板Caポンプ受容体数が10 fmol/mg protein以下の低値を示す小児が3名存在した。 ただし、うち1名は本態性高血圧であったが、2名は正常血圧であった。 2.3名中2名が強い本態性高血圧症家族歴を持っており、遺伝素因との関連が示唆された。 3.アルブミン補正法により算出した血漿イオン化Ca濃度は、高血圧群が正常血圧群より低値を示したが、統計学的な有意差はなかった(3.98±0.34 vs 4.11±0.29)。 しかし、補正血漿Ca濃度及び尿中Ca濃度は、血小板Caポンプ受容体数と相関しなかった。 補正血漿Ca濃度 vs 血小板Caポンプ受容体数 r=0.0172,P>0.05 尿中Ca濃度 vs 血小板Caポンプ受容体数 r=0.0769,P>0.05 4.血小板Ca濃度も補正血漿Ca濃度及び尿中Ca濃度と相関しなかった。しかし,血小板Caポンプ受容体数とは有意の負の相関が認められた。 血小板Ca濃度 vs 血小板Caポンプ受容体数 r=0.4388,P<0.05 反省点として、血漿イオン化Ca濃度及びPTHが測定できた一部の症例の成績では、血小板Caポンプ受容体数、血漿補正Ca濃度、尿中Ca濃度等と全く相関せず、測定からはずしても本研究の目的達成には殆ど影響しないと判断される。
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