平成6年度のまとめ 血小板Caポンプ受容体数が、私どもの経験値より-2.0SD以下(10 fmol/mg protein以下)を示した小児、及び希望者の計6名に対して、市販経口Ca剤(ワダカルシウム)をCaとして1日600mgを1〜3カ月間投与し、投与前後で補正血漿Ca濃度、血小板Caポンプ受容体数及びCa濃度、赤血球膜Naポンプ受容体数、12時間尿中Ca排泄量、及び血圧を測定した。成績は平均値と標準偏差で示し、対応のあるt検定で比較した。その結果、次の知見が得られた。 1.補正血漿Ca濃度、尿中Ca排泄量及び赤血球膜Naポンプ受容体数は増加したが、統計学的な有意差はなかった。 補正血漿Ca濃度(mg/dl) 前9.4±0.2 後9.8±0.3 尿中Ca排泄量(mg/m^<2/>12h) 前39±24 後44±20 Naポンプ受容体(nmol/ cells) 前7.6±1.5 後7.9±1.8 2.血小板Ca濃度、血小板Caポンプ受容体数及び血圧はほとんど変化しなかった。 血小板Ca濃度(mg/dl) 前0.324±0.065 後0.321±0.057 Caポンプ受容体(fmol/mg protein) 前21.5±9.8 後22.2±8.6 収縮期血圧(mmHg) 前131±8 後129±8 Ca経口補充により血小板Ca受容体数や赤血球膜Naポンプ受容体数が増加したことから、十分なCa摂取によりCaポンプ異常や膜Na輸送異常を改善できる可能性が示唆され、今後、成人本態性高血圧症を小児期から予防するための方策を立てる上で、大きな成果と考えられる。
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