研究概要 |
前年度には、Fructose‐1,6‐diphosphatase(以下FDPase)欠損症7名のうち2名の姉妹でのみ培養単球でFDPase‐cDNAが得られた。本年度はこの2名の姉妹とその家族について、変異遺伝子部位を同定し大腸菌で発現させた。 1:欠損症姉妹の培養単球由来のPCR産物のサブクローン後および直接塩基配列決定。姉妹はいずれも全く別個の2つの変異(Gの挿入とTからCへの変化)によるcompound heterozygotesと判明した。Gの挿入は母方の祖母由来で、この変異により332個のFBPaseのアミノ酸配列が321番目より変化し332番目で終わる短縮した酵素蛋白になると思われた。TからCへの変異は父親由来で325番目のアミノ酸がヴァリンからアラニンに変化すると思われた。RFLP分析でも予想どうりに姉妹及び父親由来のPCR産物のみが部分的に切断された。 2:正常の単球、肝臓および変異クローンをpET11a plasmidに組み込み大腸菌にて発現させ精製を行った。SDS‐PAGEの結果は予想された様に、正常の単球、肝臓由来のクローン、Gの挿入を伴うクローン、TからCへの変化を伴うクローン、いずれも約37kDのバンドを示した。 FBPase酵素活性については、正常の単球、肝臓由来のクローンともに約10units/mg protein前後であった。Gの挿入を伴うクローンでは活性はほとんど認められなかった。しかしTからCへの変化を伴うクローンについてはほぼ正常の活性が認められた。
|