研究概要 |
平成5年度には当初の計画どうり、幾つかの先天性免疫不全症候群(Commom variable immunodeficiency、Bloom症候群など)で免疫グロブリン遺伝子の再構成、switching(特に、chromatinの状態など)の異常、免疫グロブリン遺伝子の発現(特に,alternative splicing)の異常が明らかになった。これらの成績は1993日本免疫学会や1993国際サイトカイン学会で報告した。さらに異常バンドを回収しベクター(Puc19)にクローニングしSanger法により塩基配列を決定している。Switchingの異常に関し、DNA hypersensitive siteを調べるため培養細胞から核を採取しDNAase Iの効果を検出しchromatin構造の状態の異常を検索するとともに、mRNAから作成したcDNAと各種primerを用いて,polymerase chain reaction(PCR)によりgermlineCγtranscriptの形成異常を明らかにした。また、分泌型IgMと膜型IgMとは一つの遺伝子からalternative splicingにより発現することから、分泌型IgMと膜型IgMの間に解離がみられる状態の異常につき当該primerを用いて,polymerase chain reaction(PCR)によりsplicing部位を増幅させ、その塩基配列の異常を検索し、当該部位の異常を明らかにした。さらにWiskott-Aldrich症候群、Ataxia-telangiectasia,IgG subclass deficiencyについて病因遺伝子の解析がすすめられている。来年度は異常が明らかになった遺伝子を発現ベクターに組み込み発現実験で異常を確かめる一方、電気的に遺伝子導入し、各細胞株に特異的な性格(例えば、紫外線感受性など)を指標にして、その特異的な性格が改善された細胞株を選択し、その細胞株から導入遺伝子を回収し、塩基配列の異常を検出し、その病因遺伝子を明らかにする。
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