研究概要 |
平成5年度は、急性非リンパ性白血病再発例のin vitro薬剤感受性を初発例と比較した。また薬剤感受性を基に化学療法を組み立てるindividualized chemosensitivity directed chemotherapyの成績をM1&M2,M4&M5の再発例についてpreliminaryにまとめた。In vitro薬剤感受性は、M1&M2初発25名・再発14名、M4&M5初発17名・再発23名、合計79名95検体についてMTT法で調べた。再発例の治療の中で(1)感受性テストの結果からのみ抗癌剤を選択した群(ICDC)27コースと、(2)薬剤感受性テストを全く参考にせず経験あるいはプロトコルに沿って化学療法を行った群(local hospital protocol,LHP)17コースとで治療成績を検定した。その結果、M4&M5再発例ではVP16,AraCに対する感受性が低下していた(p<0.05)が、M1&M2では同程度であった。ICDC群のCR/PR率は52%,LHP群のCR/PR率は18%でICDC群の方が良好であった(p<0.05)。他の難治性小児白血病たとえば乳児白血病・Ph1陽性白血病、B-ALL,mixed linage ALLについては、検討症例数が少なく抗癌剤感受性の特徴を明らかにするまでには至らなかった。次年度の課題である。臨床使用抗癌剤の評価では、完全寛解(CR)に達した場合のみをin vivo sensitiveとしたが、CRは抗癌剤感受性の他に骨髄幹細胞の予備力にも強く影響されることが分ったので、CRが得られなかった場合どちらが原因かを明らかにする必要があろう。
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