研究概要 |
抗ガングリオシドD2(GD2)マウスモノクローナル抗体の神経芽細胞腫治療応用のため、3種類の抗GD2抗体について組織特異性、in vitroおよびin vivoにおける抗腫瘍効果、さらにサイトカイン併用の効果について研究し、以下の結果を得た。 1. 抗体220-51、A1.410、3F8はいずれもヒト神経芽腫細胞株、ヒト神経芽腫腫瘍組織と特異的に反応した。ヒト正常組織との間では脳の神経細胞と反応がみられた。 2. ラジオアイソトープ標識抗体220-51を用いて、腫瘍移植ヌードマウスのイメージングを行ったところ、腫瘍に特異的な集積が認められた。 3. 抗体220-51、A1.410、3F8はいずれも神経芽腫細胞株に対して、補体依存性細胞障害活性(CDC)およびヒトエフェクター細胞(単核球,顆粒球)による抗体依存性細胞媒介性細胞障害活性(ADCC)活性を示した。 4. 顆粒球によるADCCは、rhGM-CSFにより増強された。 5. 抗体220-51は、神経芽腫移植ヌードマウスへの投与により、単独で腫瘍増殖抑制効果を示した。rmGM-CSFまたはrhG-CSFを併用することでその効果は増強されたが、rmGM-CSFとrhG-CSFの両者を用いた場合に最も高い増殖抑制効果が得られた。 今回の基礎的研究から抗GD2抗体の臨床における有用性が示唆された。
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