1.小児悪性腫瘍患者に発症した帯状疱疹患者からのPCRによるVZV DNAの検出 1)対象と方法 帯状疱疹患者10名からの末梢血単核球と咽頭ぬぐい液を発症時から1週間毎に採取し凍結保存した。フェノールクロロホルム法により末梢血単核球よりDNAと咽頭ぬぐい液よりPCR法によりVZVDNAの検出を試みた。PCR法はVZV糖蛋白Iの領域に設定したptrimerを用いたnested PCRを行なった。 2)結果と考察 10例中9例の末梢血単核球、7例の咽頭ぬぐい液からVZV DNAが検出された。臨床的に局所性の帯状疱疹患者からもVZV DNAが検出された。帯状疱疹は知覚神経に添って再活性化されたVZVが皮膚に到達すると言われているが、血行性にウイルスが広がることが示唆された。 2.水痘・帯状疱疹ウイルスによるサイトカインmRNAの発現 1)方法 末梢血単核球をVZV抗原を添加して24時間培養後total RNAを抽出した。インターロイキン2、TNF、インターロイキン1のプライマーを用いてRT-PCRを行ないそれぞれのmRNAの発現を検討した。 2)結果と考察 健康成人の末梢血単核球はVZV抗原刺激によりインターロイキン2、TNF、インターロイキン1のmRNAの発現の増加が認められた。これらのサイトカインは培養上清中には検出されなかったがmRNAレベルでは増加していることが考えられ、これらのサイトカインがVZV抗原によるリンパ球の活性化に関与している可能性が示唆された。
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