大脳皮質脊髄路の形成とその可塑性に関する形態計測的研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05670672
• 研究機関: 滋賀医科大学
• 研究代表者: 山野 恒一 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (20093172)
• キーワード: 大脳皮質脊髄路 / 同側性大脳皮質脊髄路 / 神経軸索 / 神経可塑性

研究概要

平成5年度:正常マウスの大脳皮質錐体細胞の軸索は錐体交叉部で交叉し、脊髄後索腹側部を下行すること(大脳皮質脊髄路)。また、頸髄膨大部での大脳皮質脊髄路の軸索数は出生後10日頃まで11万本と増加し、以後減少し始め、生後30日目には約6万本となり、その後変化しないことが確認された。平成6年度:新生仔マウスの右側大脳半球を破壊すると、左側大脳皮質錐体細胞の軸索の大部分は錐体交叉部で交叉するが一部は交叉することなく、新たな同側性皮質脊髄路が形成されることが判明した。このマウスの頸部膨大部での横断面では左側大脳皮質脊髄路は萎縮し、右側大脳皮質脊髄路は肥大しているように観察された。そこで、この肥大したと思われる右側大脳皮質脊髄路を形成する軸索の数を経時的に観察すると、平成5年度で得られた、正常マウスの軸索の数と同じ推移を示す傾向となっていた。以上の結果から片側大脳半球の破壊により、健側側大脳皮質脊髄路の軸索数は変化することなしに、同側性大脳皮質脊髄路が新たに形成されることが判明した。

研究成果

• [文献書誌] Takano T,Uno M,Yamamo T,Shimada M: "Pathogenesis of cerebellar deformity in experimental Chiari type I malformation caused by mumps virus" Acta Neuropathologica. 87. 168-173 (1994)
• [文献書誌] Kumode M,Yamano T,Shimada M: "Histochemical study of mitochondrial enzymes in cerebellar cortex of macular mutant mouse,a model of Menkes kinky hair disease" Acta Neuropathologica. 87. 313-316 (1994)
• [文献書誌] Ono K,Yamano T,et al.: "Axon ramification following unilateral cortical ablation in neonatal rats" Brain and Development. 16. 264-266 (1994)
• [文献書誌] Gui-qin Xu,Yamano T,Shimada M: "Copper distribution in Fetus and placenta of the macular mutant mouse as amodel of Menkes kinky hair disease." Biology of the Neonate. 66. 302-310 (1994)
• [文献書誌] 小野恭一,山野恒一ほか: "新生仔ラット一側大脳障害後の新たな非交叉性大脳皮質脊髄路の形成機序" 脳と発達. 27. 3-9 (1995)