現在まで我々は先天性DM児20名とその母、祖母を合わせて52名の白血球よりDNAを抽出し、DM特異的プローブp5B1.4を用いて解析したところ、先天性DMで成人DMに比べて著明に増大したunstable DNA(CTG repeatの増多)を報告した。さらに、剖検先天性DM臓器(脳、脊髄、肝、心、腸、子宮、舌等)に一様に著明に増大した(19kb)のunstable DNAの存在を報告した。又、父親由来の先天性DMの存在をDNAレベルではじめて明らかにした。 現在、正常羊水を培養し、それよりDNAを抽出し、southern法でも十分に使える事を確認している。培養する前の羊水細胞をCTGのrepeatをはさむprimersを用いてPCR法で増幅しさらにPCR-southern法にて比較的簡便に解析できる方法も可能になっている。それと平行して剖検先天性DM臓器よりmRNAまたはtotal RNAを抽出し、RT-PCR法にてcDNAを作製し、各臓器ごとのcDNAの解析を予定している。 先天性DM児4名の白血球と筋生検で得られた凍結筋肉よりDNAを抽出し、unstable DNAを比べたところ、白血球に比べ、筋肉では明らかにunstable DNAが1.0kb以上増大していた。このことは、各組織および細胞間でのsomatic instabilityを示す所見であり、生下時からの各臓器間での症状発現の差違と関係があると思われる。平成7年度はDM-kinaseのcDNAから、抗DM-kinase抗体を造り、各組織におけるDM-kinaseの発現をみる。
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