研究概要 |
本年度はRT-PCR法による先天性筋緊張性ジストロフィー(CDM)児の各種組織におけるMT-PK mRNAの定量を行った。 【目的】筋緊張性ジストロフィーの責任遺伝子であるMT-PK geneのmRNAの発現においては、減少しているという報告と増加しているという報告がありいまだ明らかになっていない。そこで、MT-PK geneのcomplete sequenceよりMT-PKのcoding region内にあるexon3〜6部分とα-helical regionとnon-homology region内にまたがるexon 11〜14部分にプライマーを設定し、RT-PCR法を用いて、MT-PK mRNAの定量を行った。 【対象と検体】CDM児の各種凍結臓器(肝、脳、舌、膀胱、横隔膜、腸腰筋)、CDM児1名、成人型DM2名、およびコントロールとして正常小児2名の骨格筋、在胎24週の胎児骨格筋、正常小児2名の肝を用いた。 【方法】各種凍結臓器および凍結骨格筋よりRNAzolTMを用いてtotal RNAを抽出した。total RNA5μgよりoligo(dT)およびSuper Script RTを用いて、cDNAを作った。 このcDNAをtemplateとし、DM protein kinaseプライマーと内部コントロールのβ-actinプライマーの2セットを加えてPCR法により増幅した。cycling conditionは、MT-PK産物とβ-actin産物がともに指数関数的に増幅する27回とした。PCR産物をアガロースゲル上で分離した後にナイロン膜に転写する。MT-PKとβ-actinのおのおのについて内部プライマーとして作成したoligonucleotideをγ-32P,ATPでendlabelしたプローブを用いたサザン法を行った。 MT-PK/β-actionの比はFujix2000を用いて定量した。 【結果】肝および脳では、コントロールとCDM児のどちらも著しい発現減少がみられた。骨格筋ではコントロールとして用いた筋に対して、CDM児では発現が減少していた。
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