ダウン症候群に伴うtransient abnormal myelopoiesis(TAM)および急性白血病、13トリソミー、22トリソミーなどの末梢血液、骨髄穿刺液について、電子顕微鏡による微細構造の観察と、DNA<ミエロペルオキシダーゼ、血小板ペルオキシダーゼ、糖化合物などの微細構造上の局在とその変化について研究した。 ダウン症候群のTAMの芽球では、核のDNAの局在は、急性骨髄性白血病や急性巨核球性白血病の芽球に類似していた。芽球の細胞質は血小板ペルオキシダーゼ陽性で巨核球系の特徴をもつが、同時に、顆類球系細胞を思わせるミエロペルオキシターゼ陽性の顆粒、好塩基球様顆粒、フェルチンを含む赤芽球の核粒などもあり、TAMの芽球は多能性幹細胞であることをうかがわせた。また、細胞質内のグリコーゲン粒子は少ないが、ゴルジ装置、GERL(Golgi-emdoplasmic reticulum-granules)は発達がよく、未熟だが蛋白の合成などでは、活動性の高い細胞であると思われた。ダウン症候群に発症する巨核球性白血病の芽球はこのTAMの芽球に類似した特徴を持っており、発声学的に近い位置にあると推察された。 13トーソミーの好中球はミエロペルオキシダーゼ陽性の顆粒が多く、22トリソミーではこの一次顆粒が少ない傾向にあった。また、22トリソミーでは、顆粒球の顆の形態的な成熟と細胞化学的な成熟の間にdiscrepancyがみられた。
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